天津のアウトライン

天津の名産品として日本人の間で最も有名なのはやはり天津甘栗。中国語では「糖炒栗子」〔Tang\2 Chao\3 Li\4 zi〕と呼ばれ、秋から初春にかけて天津の至るところで甘栗の露店が並び、一つの風物となっている。しかし、天津甘栗の産地は天津ではなく、主に河北省の遵化・遷西・興隆で収穫された栗を使用している（このあたりの栗が中国で最もおいしいと言われている）。昔甘栗が天津の港から日本に運ばれてきたことから、日本人が「天津甘栗」と呼ぶようになったというのがその名の謂れである。一方、中国人の間でよく知られている天津の名産品と言えば「十八街麻花」「狗不理包子」「耳朶眼炸糕」。これらは「津門三絶」（天津三大名物）と呼ばれ、観光土産や祭事の贈答品に利用されている。

■食品

十八街麻花
麻花とは小麦粉を練って油で揚げたお菓子で、日本のカリントウを拡大してひねりを加えたような形状をしている。「十八街」はその老舗で、麻花と言えば誰もが十八街を思い浮かべるほど有名。ただ、パッケージを似せた偽物も横行しているので、専売店で買うことをお勧めする。

狗不理包子
老舗の包子店。包子は肉まんのこと。和平区に本店があり、南市食品街、天津站など市内各地に支店がある。「狗不理」とは中国語に直訳すると「犬（狗）もかまわない（不理）」という意味だが、もともとの由来は店主の幼少時代のあだ名からきている。決して「犬も食べないような包子」という意味ではない。

耳朶眼炸糕
中にいろいろな餡の入った団子を揚げたもの。耳朶眼炸糕は創業100年の老舗で、外はパリッと中はトロッとした食感が特徴。

果仁張
160年以上の歴史を持つ天津の伝統的な豆菓子で、西太后も絶賛したという逸話が残っている。主にアーモンドなどのナッツ類を砂糖やチョコレートなどでコーティングしたものを指すが、現在では種類が増え、日本のオカキのようなものまで含まれる。いろいろな味が楽しめるばかりでなく、色とりどりで目にも楽しい。

■天津泥人形／泥人張

天津泥人形「泥人張」は天津を代表する民俗工芸の一つ。「泥人」とは泥人形のことで、「張」は人の名前である。今から160年ほど前に天津の張明山という職人が発明し、代々その子孫が継承してきたので、「張氏が作った泥人形」という意味で「泥人張」と呼ばれている。天津泥人形は子どもや老人、職人など庶民をモチーフにしているものが多く、日常に生きる人々を繊細かつリアルに表現していること、そしてその中に温かみやユーモアが感じられることが特徴である。

大福堂
泥人形はじめ楊柳青年画など民芸品を数多く取り揃えている。泥人形のオーダーメイドサービスも行っているが、制作に40日前後かかるとのこと。料金は相談に応じる。

ADD：南開区鼓楼東街175号
TEL：(022)2728-8099

■切り紙／剪紙

「剪紙」とは中国の伝統的な切り紙細工のことで、これも天津を代表する民俗工芸品である。現在は春節や祭事に壁や軒先に貼られることが多い。そのためモチーフは主に吉祥を表すものが多く、牡丹などの花や金魚、十二支の動物をかたどったもの、「福」の字をデザインしたものなどがある。

■青年画

「年画」は春節の時に家に飾る吉祥を表した伝統絵画のこと。天津の楊柳青という地域で生まれた「楊柳青年画」は全国的にも有名で、江蘇省の桃花塢、山東省の潍坊楊家埠、四川省の綿竹とともに、中国四大年画と謳われている。楊柳青年画の発祥は明代の崇禎年間。以来この地で脈々と受け継がれ、300年以上の歴史を築いている。

楊柳青年画は、版画で下絵を写してから色を塗る「半印半画」という独特の手法が用いられている。丹念に色を重ね塗りしていくので、仕上がりは非常に精緻かつ繊細である。

楊柳青年画館
中国の伝統家屋「四合院」の中にあり、展示室では年画の作品や作業工程の説明などが見られる。奥に工房があり、若い職人たちが実際に制作している風景を見学することができる。

OPEN：9:00～16:30
FEE：5元／人
ADD：西青区楊柳青估衣街2号　楊柳青博物館裏側　安氏祠堂内
TEL：(022)2794-5662
市バス：153路、158路、175路、669路、672路、824路　「楊柳青広場」下車

玉成号画社
年画職人・霍玉堂氏が開いた工房で、現在は息子の霍慶有氏が先代の志を受け継ぎ、年画という伝統工芸の保護と伝承に努めている。年画の購入（60～4000元）、工房の見学はもちろんのこと、希望すれば、ここで年画のレッスンも受けられる。見学とレッスンは無料。

OPEN：24時間　年中無休
ADD：西青区楊柳青古運河辺世紀新苑小区13-1-101
TEL：(022)2794-0848
市バス：153路、158路、175路、669路、672路、824路　「楊柳青広場」下車